「下手な鉄砲も数打ちゃ当る」ということわざがありますが、これはダイレクト・メール(DM)には当てはまりません。下手なDMはいくら数多く出しても販売につながらないことが現実です。
DMの打ち方を分類すると、対消費者向けのものと対企業向けのものがあります。また、一度で販売するワンステップ方式と、一度目でアンケートの回答や資料請求をしてもらい、二回目以降で販売するツーステップ方式があります。
それぞれやり方が異なりますが、主なポイントは共通しています。小さな会社のDMの打ち方・作り方のコツは次の3つです。
1.目的をはっきりさせる。目的は1つに限定する。
2.相手を選んで送る。自社の顧客名簿を活用するのが原則。
3.販売までの具体的なストーリーを考え、行動を誘導する方法を検討する。
DMには具体的な目的が必要です。新商品の紹介、催しの案内、来店促進、情報提供などが一例です。1回のDMでは目的を1つに絞り込んで、発送先や封筒、文章表現、特典などの全てをその目的達成のために向けるべきです。なぜなら、DMはわずかな時間で読まれるものですから、受け手がDMの内容を直感的にわかるようでなければ、反応を引き出すことは難しいのです。内容がわかりにくいと、その時点でゴミ箱に捨てられてしまいます。
例えば、雑貨店で新商品の紹介と販売が目的ならば、新商品をご利用いただけそうな既存顧客に対し、新商品への店主のこだわりを書いた封筒を発送し、中の文章には新商品の特徴や使った際のメリット、今回ご来店いだだき新商品をご購入いただいた場合の特典をアピール力がある表現で盛り込むこと、が具体的な作り方です。
次に重要なのはDMの発送先です。DMの反応率の7割以上は誰に送るかによって決まります。発送名簿には会社が独自に作った顧客名簿と、外部から購入する外部名簿があります。小さな会社のDMは、自社の顧客名簿の中の絞り込んだターゲットに対して出すものだと考えてください。知名度がない会社が、電話帳や高額所得者名簿などの外部の名簿に基づきDMを発送しても、費用に見合った効果をあげることは難しいのです。現時点で独自の顧客名簿がない場合、顧客名簿を作るところから始めた方が、長い目で見ると結果はよくなります。具体的な顧客名簿の作り方には来店アンケートを行なう方法や、新聞広告やチラシ、HPで資料請求者を集める方法などがあります。
最後に販売までの具体的なストーリーを考えた作り方をすることです。DMは受け取る側の心理と深いかかわりがあります。当社にとって望ましい行動を想定し、その行動を誘導するように、一連の仕掛けを考えておきます。
美容院のDMでしたら、店が期待する行動は、気持ちよく予約の電話を入れてもらい、来店が少ない平日に来ていただきたいことだとします。そこで作り方としては、そろそろ髪の毛が気になりだす、カット時期の3週間程度前のお客様に、担当者が手書きのイラストを入れて直筆でDM葉書を書きます。葉書には予約電話番号を大きく書き、予約の上、平日に来店してもらえばお待たせしない上に、カット代が10%Offという特典を明記します。電話が掛かってきたら担当者が出るように指導しておき、その場で感謝の気持ちを伝えます。さらに、予約日の3日ほど前に確認の葉書を出し、予約時間の確認とお待ちしていることを伝えます。このような一連の作り方の仕掛けをすることで、DMを有効に活用することができます。