小売業では広告というとまずチラシを思い出すくらい、チラシはよく使われる広告手法です。大辞林によると、チラシとは「広告・宣伝文を印刷した紙」であり、チラシ広告は「チラシを街頭で手渡したり新聞に折りこんだりして行う広告」、とあります。今回はこのうちの折込チラシ広告について、反応を上げる条件についてご説明します。
折込チラシに反応があるかどうか、次の方程式で表すことができます。
チラシの反応 = 配布時期 × 配布エリア × 回数 × 仕掛け × チラシの中身
チラシの反応率を上げるためには、まず適切な時期にまくことです。原則的に売りたい時期の少し前にチラシをまくことになります。雛人形を売りたいのであれば2月中旬が、クリスマス商品を売りたいのであれば12月上旬が一般的な折込時期になります。戦略的に他社と違う時期を選ぶこともあります。
例えば、地域一番店は、他社のチラシを挟み込むようなタイミングで折り込むことも行います。雛人形であれば他社が折り込む2月中旬ではなく、2月上旬と2月下旬に2回にわたり折り込むことで、情報収集をしている人を他社に先駆けてとらえ、どこで買おうか迷っている人に対して最後に購買を促すのです。
実務的には、競争相手の販売促進のやり方と自社の商品構成を考え、年間販促スケジュールを作ることになります。折り込む曜日も重要な要素です。私の住んでいる塩尻市広丘では、折込枚数は土曜日が一番多く、金曜日がこれに次ぎ、日曜日と月曜日はかなり枚数が少ない傾向があります。火水木に入っているのはスーパーやホームセンター、デパートなど主婦向けのチラシが多く、金土にはこれらに住宅関係やレストラン、ビデオ、車検など家族向け商品のチラシが加わります。商品や地域性によりどの曜日が良いかは一概に言えません。回数を重ねながら検証していくことが必要でしょう。
次に配布エリアと回数に関してですが、中小商店の場合、自社商圏に限定して定期的にまいた方が反応が良くなります。自社商圏とは、一般的に現行顧客の70~80%が居住している地域をいいます。自社の商圏以外に配布しても顧客は反応せず、その分は無駄になることが多いのです。また、定期的に折込むことにより、商品や店舗の認知度が高まり、ある程度までは反応が向上していきます。
現在の商況は、チラシをまけばそのコストに見合った粗利益がとれるほど甘くはありません。少し前まではチラシは1??3%の反応があれば良いと言われていました。しかし、今では反応率はかなり低下しています。中小商店では千枚まいて数件反応があればかなり良いチラシと言えるほどです。したがって、チラシ広告は試用客や見込み客の発見を主要な目的にして、長期的な観点から効果を考えないといけません。
見込み客発掘や初回顧客の再購買の仕組みを考えた上でチラシ広告を打ち、長期的にチラシ費用を回収する必要があります。それがチラシの仕掛けということになります。チラシの仕掛けとチラシの作り方については、次回で取り上げます。