利益を増加させる値上げ方法

110円のおにぎりと180円のおにぎり、150円のカップ麺と365円のカップ麺、どちらの方が売りやすいのでしょうか?

 いずれもコンビニにある商品ですが、注目していただきたいのは、おにぎりで1.6倍、カップ麺では2.4倍の価格差がある商品が、限られたスペースしかないコンビニの棚で売られているという事実です。安さではなく、相対的な値頃感で商品が選ばれているのです。

 この例に見られるように、大手メーカーは最近、値段を柔軟に変えることによって利益を増加させる価格政策をとっています。一方、中小企業では価格を変えることに臆病な会社が多いように思えます。そこで今回は小さな会社でも使える値上げ方法をご紹介します。

 値上げは利益を増加させる最も簡単な方法です。例えば、粗利益が30%の商品があったとします。原価を変えずに、5%の値上げに成功すれば、粗利益額は約16%も増加します。もちろん値上げすれば売上個数が減り、粗利益が減る恐れもあります。一般的にいって、値上げが有効な商品(サービスを含む)は次のようなものです。

需要が供給を上回っている商品。品切れが生じている商品、受注残がある商品、注文を断っているサービスなど。

差別化されている商品。商圏内で代替品がない、または少ないもの。

割安感がある商品。価格以外の要因で売れているにもかかわらず、他の商品と比べて値段が安いと思われる商品。
 これらの商品は値上げできる可能性が高いといえます。逆に、需要が少なかったり、代替商品があったり、割高な商品は、値上げすると予想以上に販売数量が減る可能性があるので注意して下さい。

 具体的な値上げの方法を4つご紹介します。

 一つは、外的な要因をとらえて商品を値上げする方法です。原材料の値上がりや仕入先の廃業、仕入材料の変更、円安などを理由に、価格を上げていきます。店内のポスターでやむを得ない事情とはいえ申し訳ありませんという意思を伝えれば、便乗値上げという反発をやわらげることができます。

 二つめは、新商品を導入することで値上げする方法です。高い価格帯の新商品を導入した上で、広告や店内POP、声掛けなどで、新商品の利点を紹介して、既存商品から新商品へ徐々に需要を移していき、機を見て既存商品を廃止します。自信があれば、既存商品の廃番と新商品導入を一気に行っても構いません。

 三つ目は、品揃えを変更することによって、価格帯を上げる方法です。例えば、1200円、1400円、1600円の商品があったとします。通常は真ん中の1400円が売れ筋になります。ここに1800円の商品を追加した上で、1600円と1800円に共通する特徴を訴求します。そうすると、中間価格になった1600円の商品の売上割合が増えることが多いのです。しばらく後に、機を見て1200円の商品をカットします。そうすると売れ筋が1600円になります。寿司屋で、並、上、特上の中では真ん中の上を選ぶ人が多いという心理を利用した価格政策です。リスクはありますが、全商品の名前を変えるなどの方法で、一気に価格帯を上にずらしてしまう方法もあります。

 四つ目は、無料サービスの有料化です。包装代や配達料、設置・調整費用、メンテナンスコストなどの代金をいただくようにします。

 ちなみに、消費者があまり意識していない商品・サービスを値上げすることは反発を招きづらい有効な手法です。居酒屋でのお通しの価格、洋服のお直しサービスなどが一例です。

 以上が値上げ手法の例ですが、業種、業態に応じて、色々な価格変更の手法があると思います。商品に自信があり、忙しく働いているにもかかわらず、なかなか儲からないとお嘆きの皆様は、値上げによって利益を増加させる方法をご検討下さい。

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